エンジン:
高い人気の高出力シングル シリンダーエンジン
「あまりに良すぎるエンジンなんて存在しない」キャデラックの草創期、ヘンリーM. リーランドはこの逆説に翻弄されました。1901年リーランドとファウルコナーの2人の優れた技術者が、オールズモービルの設立者のランサム
E. オールズのプランに基づき、シングル シリンダーエンジンを改造しました。このエンジンでは、オリジナルの3.7馬力を10.3馬力へと、驚異的な出力向上を果たしました。しかしこのエンジンは、車側が3倍の出力に耐えられない為、採用される計画がありませんでした。結果として、1902年8月22日、ヘンリー
M. リーランドとパートナーは、この高出力で信頼性の高いエンジンを載せたシャシーとボディの製造を目的にした“キャデラックオートモビルカンパニー”を設立したのです。
設計変更を受けたシングル シリンダーエンジンは、初期のキャデラック、1902年モデルAに搭載されました。これはシリンダーボア寸法とストロークが同じスクエアエンジンで、1609ccの排気量から10馬力を発生、バルブトレーンは当時としては最新のものでした。他社はシリンダー内のカムシャフトと長いプッシュロッドで2個のオーバーヘッドバルブを駆動させるブローバルブを使用していました。1905年には、キャデラックのシングル
シリンダーエンジンは、世界で最も生産量の多いエンジンでした。1906年には、14,000基を記録。このエンジンは1908年までリヤシートの後ろに搭載されていました。しかし社内にも競合するエンジンが出現しました。1904年のモデルDで、4気筒4928cc、30馬力の高出力で静かなエンジンでありました。
生まれながらの勝利者:キャデラックがV型の8気筒エンジンで活性化
「ビクトリーのV」キャデラックのサクセスストーリーの始まりです。8気筒のシリンダーが各々2気筒ずつ、Vの形に向き合って配置されました。この世界で最初に量産されたV8エンジンは、1914年9月にタイプ51としてデビューしました。このエンジンレイアウトは、今日までアメリカの自動車の標準となっております。1927年から1929年まで、キャデラックだけで年間48,000基のV8モデルを生産しました。この成功は、例えば1973年のシリーズ6Dの生産台数は、216,000台を超えたドゥビルの成功に匹敵するものです。
最古のキャデラックV8エンジンのタイプ51は、ロングストローク、5146ccの排気量で70馬力の出力でした。シリンダー角は90度で慣性重量合わせを行ったスムーズなエンジンでした。1923年以降、クランクシャフトにカウンターウエイトがつけられ、さらにスムーズなエンジンになりました。このV8エンジンはサーモスタットで温度管理したクーリング系を採用し、高効率のウォーターポンプを2個採用したため熱に基因するトラブルは全く発生しませんでした。
先駆者:エンジンの設計に当っての革新的なアイデア
アメリカのモットー「エンジン排気量に変わるものは無し」の通り、エンジン排気量はモデルイヤー毎に大きくなっていきました。1970年の頂点の時には、8.2リッターで量産乗用車としては最大を記録しました。しかしながら1977年以降、V8エンジンは小型化されてきました。キャデラックのエンジニアはエンジン設計開発における業界のリーダーとして、スムーズで、燃費が良く、排気ガスのクリーンなエンジンの開発に努力して参りました。例えばサーモスタットによる温度コントロール付キャブレターの採用(1922年)、エミッションコントロール(1967年)、クローズドクーリングシステム(1969年)、EFI(1975年)、可変シリンダーエンジン(1980年)の採用があげられます。また1978年には、セビルに5.7リッターV8ディーゼルエンジンが採用されました。更に1985年にはドゥビルにスペース効率の高い横置きV8
FFが採用されました。
現行セビルに搭載されるV8エンジンは、排気量4.6リッター、最大出力300馬力でFWD車としては世界で最もパワフルなモデルの一つです。ドゥビル及びエルドラドも同じ排気量のエンジンを搭載しています。エスカレード2WDは、5.3リッターV8を搭載し、エスカレード4WD及びEXTには、6.0リッターV8を搭載しています。セビルのノーススターエンジンは、キャデラックの高い技術基準を問題なくクリアしています。高い信頼性を誇り、最初の調整整備は、160,000km走行時点でスパークプラグを交換するのみです。洗練されたモニタリングシステムを装備し、29個にも及ぶセンサーでパワートレーンの異常を検知すれば、ただちに自動調整を行ないます。たとえ何らかの小さな事故でエンジンの冷却水が無くなっても、車は時速80kmの速度で最寄りのガレージまでたどり着くことができます。この時、エンジンは8気筒の内4気筒だけに燃料を送り、他の4気筒は空気を吸入してエンジンの冷却を行います。
世界初:V16エンジン搭載の乗用車
「世界が未だ体験したことがないパフォーマンス」これが1930年のキャデラックの広告です。実際何の誇大もありません。世界で初めてV16エンジンを乗用車へ搭載、低回転での高いトルク、油圧バルブアジャスターによる静かなエンジンは、ドライビングの革命とも言えます。プレステージアスなV16エンジンのバンク角は45度、排気量7404cc、最大出力165馬力、より印象的なのは、325Nmという贅沢なトルクが1,200から1,500回転で得られたことです。1937年には、世界恐慌という経済情勢にもかかわらず、3,900人の裕福なカスタマーが、シリ-ズ452ラグジュアリーセダンV16エンジンを選びました。1930年の7月、少し小さいものを求める人用に、ボアを小さくした排気量6063ccのV12エンジンが発表されました。
1938年、キャデラックのエンジニアは新型V16エンジンを発表し新たな歴史を作りました。このエンジンはバンク角を135度にして前モデルより全長を150ミリ短縮、部品点数を3,300個から1,600個に減少、100kgの軽量化に成功したのです。1940年からのシリーズ40-90のおよそ500モデルがこのエンジンを搭載、これ以降40年間V8より気筒数の多いエンジンも少ないエンジンも採用されていません。 |
キャデラックの将来のエンジンは、シエン搭載の新設計ノーススターXV12コンセプトエンジンで示されています。燃料直接噴射、バリアブルインテークシステム、可変気筒制御、可変バルブタイミング等を採用、4バルブ4カムシャフト、排気量7.5リッター最高出力560kW/750馬力、最大トルク610Nmを発生するコンパクトなアルミ製エンジンがシエンに搭載されています。 |
 |